恐怖心(仮)

4/25
前へ
/112ページ
次へ
犀川の戦いが和睦成立し長尾景虎が越後へ戻った後 義元は同盟国の武田晴信(武田信玄) と暫く会話をした。   「…のう晴信。」   「義元殿。どうなされた。」   「つまらぬの…」   「…と…言いますと…」   「遊び相手を亡くしたのだ。」   「む?」 『遊び相手?駿河は越後も狙っていたか? はたまた…いや… どう言う意味だ。』     『爺… よくぞ最後まで。』   「帰りたくなし…」   「義元殿…気分が晴れぬ様で…」   「…。」   日に照らされる義元は 右手で支えた顔から少なからずの涙を見せると それを何気なく拭い遠くを見るだけだった。   『たいげん…すうふう…せっ』 「サイ…」   「!?…採?とな?」 『この緒方の心が読めぬ… 同盟国とは言え、我等ともやり合う気が… その時は覚悟せなければ…』     義元は重たい腰をゆっくり起こすと駿河へ戻って行ったのだった。  
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加