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犀川の戦いが和睦成立し長尾景虎が越後へ戻った後
義元は同盟国の武田晴信(武田信玄)
と暫く会話をした。
「…のう晴信。」
「義元殿。どうなされた。」
「つまらぬの…」
「…と…言いますと…」
「遊び相手を亡くしたのだ。」
「む?」
『遊び相手?駿河は越後も狙っていたか?
はたまた…いや…
どう言う意味だ。』
『爺…
よくぞ最後まで。』
「帰りたくなし…」
「義元殿…気分が晴れぬ様で…」
「…。」
日に照らされる義元は
右手で支えた顔から少なからずの涙を見せると
それを何気なく拭い遠くを見るだけだった。
『たいげん…すうふう…せっ』
「サイ…」
「!?…採?とな?」
『この緒方の心が読めぬ…
同盟国とは言え、我等ともやり合う気が…
その時は覚悟せなければ…』
義元は重たい腰をゆっくり起こすと駿河へ戻って行ったのだった。
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