55人が本棚に入れています
本棚に追加
【駿河・善得寺・今川義元】
「爺…」
「義元様。崇孚殿の最期の黒衣に。」
「…。」
『先生の線香臭い匂いだ…』
「是非、…義元様に。」
義元は黒衣を受け取ると
それを暫く見つめてゆっくり口を開いた。
「大切にするぞ。
…カタミなり。」
この日の昼刻から翌日の夜まで
今川義元。
官位、治部大輔の姿を見た者は誰1人居なかった。
『
「坊。坊が産まれる前は尾張は我等今川が納めておった。」
「駿河へ追いやられた我等の元領地を取り戻そうぞ。」
「上洛なるば尾張侵攻は間違い無い。
斯波織田の清洲城を落とせば尾張制圧に。」
「織田信秀の代で尾張勢力は拡大した。信秀が父、信貞の拠点。津島の金財産は我等の全領土財産より遥か上。」
「取る他なし…」』
『期は熟された。』
「爺さん。
見ててくれ。」
今川治部大輔義元。
尾張は清洲。一点攻めを
本格的に決意したのだった。
【桶狭間の戦い】
の1年前の事で有った。
最初のコメントを投稿しよう!