恐怖心(仮)

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【駿河・善得寺・今川義元】     「爺…」   「義元様。崇孚殿の最期の黒衣に。」   「…。」 『先生の線香臭い匂いだ…』   「是非、…義元様に。」   義元は黒衣を受け取ると それを暫く見つめてゆっくり口を開いた。   「大切にするぞ。 …カタミなり。」     この日の昼刻から翌日の夜まで        今川義元。   官位、治部大輔の姿を見た者は誰1人居なかった。       『  「坊。坊が産まれる前は尾張は我等今川が納めておった。」 「駿河へ追いやられた我等の元領地を取り戻そうぞ。」 「上洛なるば尾張侵攻は間違い無い。 斯波織田の清洲城を落とせば尾張制圧に。」 「織田信秀の代で尾張勢力は拡大した。信秀が父、信貞の拠点。津島の金財産は我等の全領土財産より遥か上。」 「取る他なし…」』         『期は熟された。』     「爺さん。   見ててくれ。」     今川治部大輔義元。 尾張は清洲。一点攻めを 本格的に決意したのだった。      【桶狭間の戦い】   の1年前の事で有った。  
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