恐怖心(仮)

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【清洲城・信長】   「信長様。今川軍の出立経路及び軍勢を駿河にて書き運びました。」     ビリッ! 「…。」 「ヒッ!」   「ネズミ顔。何処で学んだ。」   「見ての通り文学はありやせん… 熱田や津島で商売しとるうちに自ずと考える知識などを独自で学びました。」   「めざわりだで。消えよ。」       【清洲城・軍義】   「今川の大軍が尾張境まで来ておる!」   「大高城にて着陣したらば尾張の神宮は全て今川のモノぞ!」   「清洲に兵を集め籠城すれば大軍でも凌げようぞ!」     「…。」   『なんじゃこやつら… 前へ出る者在らず… 己を守る事しか考えておらぬ…   これじゃ勝てんがや… やっぱり無理なんかの…   こやつらより余程商人達のが考えとる…』       「殿!軍義中ぞ!今一度座り頼も!」   「帰るでや。」   「殿ッ!!」     織田信長。家臣達の軍義中に一言も喋らず静かに立ち上がり 何くわぬ顔で帰宅に候。 まさにうつけの才。   それにつられる様に 家臣達も解散と相成ったのだった。 それが何を意味するか。 織田勢力の分散。 信長、言わずとも自ら主力織田軍の解散を命じた事となった。  
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