蜂谷桂介

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午後5時16分、戸子中学に到着した。 学校からは、部活動に励む生徒たちの声や吹奏楽の音が響く。 帰宅する生徒がちらほら校門から出てくるものの、 誰かと待ち合わせしているような者はいなかった。 メリーが紹介した人物とは誰だ? ――メリー自身なのか? なぜ戸子中学で待ち合わせなのか? ――マツコが通っているから? 俺と同じ考えを持つ人物? ――それはつまり、先週の電車事故は殺人事件だったのではないかと考える人物か? 思考が消えては現れ、ぐるぐると頭を巡る。 思い出すのではなく、 空想するのでもなく、 既存の事実をスライドパズルのように滑らせ並び替えて繋げるような思考。 この感覚は久々だった。
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