蜂谷桂介

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俺は心が沸き立つのを感じた。 マツコが心配、というのは紛れもない事実だが、あくまで口上。 本当は、自分が何かに得たいの知れないものに巻き込まれそうになっているという事態に、 わくわくして仕方がなかった。 不安や恐怖ももちろんあるが、 その感情を抱くこと自体に興奮する。 俺がかつて探偵と名乗り、 またそう呼ばれていたころは、 常にこの感覚に突き動かされていた。 もうこの感覚は、押し殺すことを決意したはずだったのにな。
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