蜂谷桂介

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校門の側に突っ立って待つこと40分程が経過した。 もうすぐ約束の6時だ。 不審な人物は誰一人見かけなかった。 改めて辺りを見回すが、 校門近くには俺と戸子中学の生徒が五人いるだけだ。 この中にメリーの紹介した人物がいるのか? ――楽しそうに会話している二人の女子生徒。 ――じっと携帯に目を向けたまま壁に寄りかかる男子生徒。 ――腕時計を何度も確認する、いらいらした様子の男子生徒。 ――携帯を片手にキョロキョロ辺りを見回す男子生徒。 もしこの中に俺の待つ人がいるなら……。 五人の姿を写真のように記憶し、目を瞑って頭に浮かべる。 それらを見比べて、並び替えて、一枚ずつ捨てて。 やかて結論が出た。 待ち人は、多分、あいつだ。
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