すいみん

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「だから、放してくれる?」 「えー、やだー。 俺寒いからお前の温かさよこせ」 ぎゅっと抱きしめられ、ぐえっと鳴く黒猫。 「く、苦しいよ、放して」 「やーだー」 すりすりと頬を寄せてくる少年に対し、黒猫は前足を突きだして逃れようとする。が、少年はものともせず、むしろ嬉しそうだ。どうやら、肉球が頬にあたって気持ちいいらしい。 「はーなーせーぃ!」 ぶにっ 「ぐぇ」 猫パンチが少年の顎にクリーンヒット。 一瞬体の力が抜け、その隙に黒猫が少年の腕の中から飛びだした。 「何すんだよぉ…」 「しつこい。」 黒猫は石油ストーブから少し離れたところまで行くと、そっぽを向いたまま眠る体勢をとってしまった。 「……。」
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