2人が本棚に入れています
本棚に追加
…寒い。
どのくらい眠ったのだろうか。黒猫が目を覚ますと、石油ストーブが消えていた。少年の姿も見えない。
静かな部屋の中に、寝息とおぼしき小さな音が聞こえる。
寝たのか、あいつ。
おもむろに起き上がり、歩き出す黒猫。
ソファーの下までやってくると、だらんと垂れ下がった手が見えた。
黒猫はその指先に触れる。
だいぶ冷たい。
…ばかだなあ。
寒がりだって言うくせにこんなにこっちの手だけ冷やしちゃって。
指先を舐めてやると、
「んー…?」
少年がむくりと起き上がる。
「手が冷え切ってる」
「…ん。」
ぐいっ
「っぇ」
体が宙に浮く。
そしてすぐに着地。
「……zZ」
「…全く。」
着地した先はソファーの上。
黒猫はふぅとため息を吐くと、その場で丸くなって寝始めた。
ごろごろごろ……
…とっても嬉しそうに。
最初のコメントを投稿しよう!