すいみん

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…寒い。 どのくらい眠ったのだろうか。黒猫が目を覚ますと、石油ストーブが消えていた。少年の姿も見えない。 静かな部屋の中に、寝息とおぼしき小さな音が聞こえる。 寝たのか、あいつ。 おもむろに起き上がり、歩き出す黒猫。 ソファーの下までやってくると、だらんと垂れ下がった手が見えた。 黒猫はその指先に触れる。 だいぶ冷たい。 …ばかだなあ。 寒がりだって言うくせにこんなにこっちの手だけ冷やしちゃって。 指先を舐めてやると、 「んー…?」 少年がむくりと起き上がる。 「手が冷え切ってる」 「…ん。」 ぐいっ 「っぇ」 体が宙に浮く。 そしてすぐに着地。 「……zZ」 「…全く。」 着地した先はソファーの上。 黒猫はふぅとため息を吐くと、その場で丸くなって寝始めた。 ごろごろごろ…… …とっても嬉しそうに。
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