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朝。
マンションを出ると三人が花壇に集まっていた。
もう何度も見た景色。
あんなに苦しかったのに、今ではホッとする光景。
私に気付くとコウちゃんが口を開いた。
「おっせーよ、木葉」
「浩介だってさっき来たばっかりでしょ?」
「未菜、浩介。うるさい」
三人の側まで行くと伊織くんに手を掴まれた。
指と指が絡む。
赤くなると伊織くんが優しく笑ってくれた。
歩き出す私達。
「だーかーらー!!何回も言ってるけど私は別にアイツが好きなわけでは……」
「あー、はいはい。お前の好きな人は氷上先生だもんな」
「は?ちょ……はあ!?」
「あれでバレないと思ったわけ?相変わらず低脳だな。先生に抱き着いて泣いてた割にはちょっと嬉しそうだっただろ」
「ち、違っ!!」
「伊織があんなに苦しんでたのに?不謹慎だねぇ、未菜」
「~~~~~!!」
「未菜も浩介もうるさいってば」
もう何度この三人の会話を聞いてきただろう。
あんなに苦しかったはずの三人だけの会話。
だけど、今苦しくないのは……。
「木葉も、そう思うでしょ?」
「だって考えてみろよ。バレバレだよな?木葉」
「木葉ちゃんに同意求めるなんてズルい!!ていうか、木葉ちゃんに頷かれたら明日から生きていけない……っ」
三人が私に話しを振ってくれるから。
あの日も、三人から逃げずに居れば良かった。
フンワリ笑うと三人も笑い返してくれる。
三人は私のヒーロー。
だから………
大好きすぎて、困っちゃうな。
私は今日も幸せです。
~END~
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