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―…私を…探して…―
昔、小さな田舎町で一つの事件があった。
その事件は、一人の少女の命を奪い、犯人は結局見つからないまま、数年前に時効を迎えた。
―数年後、現在―
「ねぇ、『マイちゃん探し』って知ってる?」
皐月乃 杏子(さつきの きょうこ)は、仲の良い友人である石野 翠里(いしの みどり)に、楽しげにそう聞いてきた。
翠里は聞いた事もないその名前に、首を傾げて聞き返す。
「知らない。何、それ?」
「ほら、この間、家で一緒に『オニアソビ』ってゲームやったでしょ? 鬼姫に追っかけられる。
あれと同じようなホラーゲームなんだけど、なんと舞台がここ、柏樹町(かしわぎちょう)なんだって!」
興奮して言う杏子に合わせて、翠里も驚いたように返す。
「え、ここ? なんでこんな田舎町?」
「さぁ? ゲーム作った人が、ここの出身なんじゃない?」
翠里や杏子が驚くのも無理はない。
二人の居る柏樹町は、コンビニやスーパーへ行くのに、30分ほど車を走らせるような田舎町なのだ。
特に誇れるような名産品もなく、全く名の知られていない町、それが柏樹町である。
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