4月。

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入学式の日。 腰まで伸びたストレートの髪を綺麗にとかして、私、福永かなこは意気揚々と学校へ出かけた。 初めて見る顔ばかり。 同じ中学出身の人間は皆無に等しく、新しい自分が作れるようでわくわくする。 一学年320人、男女比は3;2くらいで男子が多く、40人クラスが8つある。 私は5組になった。 今は、堅苦しく緊張した雰囲気の蔓延する入学式も早々に終わってからの教室待機の時間。 お互いに見知らぬ顔ばかりで、談笑も少なく、教室のところどころでぼそぼそと囁き声がするくらいだ。 運よく中学校時代に仲の良かった友人、伊東ゆうかと同じクラスになれたのだが、なにぶん席の配置が出席番号順なため、遠い。 担任がまだ来ないようなので、しかたなく私は隣の席にうつむきがちに座っていた子に話しかけてみた。 「はじめまして。私は福永かなこって言います。よろしく。長城(ながしろ)中学校出身なんだけど、あなたはどこ中出身ですか?」 するとその子は驚いたのかびくりと体を震わせ、目を見開いて 「あ、あたしは和間佐織。金居(かねい)中学校出身ですっ」 と力んで答えた。 「へー、金居からなんだ、確か少ないよね、あそこ」 「かなり少ないですー、あたしを含めて二人。しかもその子と離れてしまって……心細いです」 適当に話題をふると、ほんわかとした作り笑顔で聞いてもないようなことを言われた。あなたが心細かろうが私には関係ないよね、しかも私に語る隙と糸口を与えない。 ……苦手なタイプだな。
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