1、始まりの地

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 その大きな背中は徐々に小さくなっていく。 「待ってよ!おいてかないで!」  子供は立ちあがろうと力を振り絞るが立つことができない。 「お願いだよ!1人は嫌だよ!」  必死に声を絞り出す。しかしその声は届かない。  火は最後の力を出し切ったかのように徐々に小さくなり――消える。辺りは静寂に包まれる。  泣いて、泣いて、涙が枯れるまで泣き続けた。――孤独、それが彼を苦しめる。 …どれだけ時間がたったのであろうか。既に彼は涙を枯らしてしまった。  太陽が真上に上がり、風が暖かい風を運ぶ。にもかかわらず体はひどく冷たさを感じる。  力が出なくなった手は地面と触れあう。次第に握りしめていた手が開き、手から光が放たれる。正確には何かが光を反射していた。  ――指輪だった。あの猿が渡したものだ。今度は指輪自身が光り出す。 優しい光が子供を包み込み声が聞こえる…… ”……ソラ……私の可愛い子………” 「……誰?きみはいったい誰なの?」 “……ソラ……” 「ソラって言うの?きみは何処にいるの?」 “私の愛しい子……ソラ……”  優しく彼を包んでいた光は徐々に淡い光に変わり、消えていく…… 「え?どういうこと……?ねぇ待ってよ!置いてかないで!」  彼の体に何かが伝わった気がした。冷え切っていた体が再び熱を取り戻す。
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