The date of beginning(始まりの日)

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しかし、それだけではない。 春高の全校生徒の人数は夏高以上の1500人。全国屈指のお嬢様学校だ。 幸いにも学力の差は五分五分と言ったところなので勉学には支障は無いだろうが、俺達男にとっては死活問題だった。 これは去年のある昼休みでの話だ。 いつも通り男子生徒の溜まり場と化した空き教室で俺は昼飯を食べながら他の男子共と喋ったりして適当に時間を潰した後教室に戻ると教室の中から悲鳴の様な声が聞こえてきた。 何事かと思い扉を開けると何故か女子達の顔が真っ赤だった。 一体どうしたんだと聞くと、一人の女子が俺に近寄り顔を真っ赤にしながら「これ、山本君の机の中から見つけたんだけど…」と言って俺に渡してきたものは大量のエロ本やAVだった。 俺のクラスには男子が3人いた。俺、拳、そして山本。 山本は容姿が言い訳でもなく特になんの取り柄もない平凡なやつだったが実は筋金入りの変態だった。 よく授業中にばれない様に隠れながらエロ本読んでいるのは知っていたがまさかこんなに大量のエロ本やAVを持っているとは思わなかった。 この量から推測すると机の中は殆どエロ本で埋まっていたようだ。 女子に話を聞くと何らかのはずみで山本の机を倒してしまい、床に大量のエロ本をぶちまけてしまったようだ。 俺はとりあえず、この大量のエロ本を山本の机に置き、女子達には知らない振りをするように指示を出し、途中から教室に戻ってきた拳に説明をして、俺自身も何事も無かったかの様に机に着席した。 暫くして戻ってきた山本が自分の机を見るなり顔面真っ青を通り越して最早紫色に近い色になり、俺達は何ひとつ言葉を発することなく、只々黙り続けた。 その後、このことが広まり山本は担任の先生に激怒され、全ての女子からは変態と影で呼ばれ挙句の果てには誰にも話かけてもらえず とうとう耐えられなくなった山本は入学して僅か二ヶ月で転校して行った。 さて、話を戻すが一般女性の反応でこれだ。 春高のお嬢様達の親は日本を担う有力企業の社長や政治家が殆どだそうだ。 もし、そんなお嬢様達の前でこんな事が起こった日には恐らく一人の人間がこの世から抹消される事となるだろう。
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