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王都の門を通り中に入ると、予想通りの光景が広がっていた。
ヨーロッパ的な雰囲気の街並みだ。
人が多く行き交い、活気づいている。
「テンプレですね、分かります」
「てんぷれ?
キリの言ってる事はよくわからないや」
サリアが、何言ってんのこいつ、的な目で見てくる。
そんな、変な人を見る目は止めてくれ。
「それより泊まる場所はどうするの?
オレ達お金持って無いでしょ」
バカ優臥、それは泊めてくれと言ってるも同然だ。
案の定このことを聞いたラメラが、目を光らせた。
さながら獲物を狙う鷹のようだ。
恐ろしい。
「そうなの!?
じゃ、じゃあ家に来ない?
ユウガ」
「え、でも、それは悪いよ。
それにオレだけじゃないんだ、霧も居るんだよ」
「それじゃあキリは家に来る?」
サリアが何でも無いことのように言う。
ユウガをどうやって家に引きずり込むか考えてたラメラが、俺にサリアの提案を飲め、というような視線を送って来る。
此処でラメラを弄るのも楽しいが、素直にサリアの提案を飲ませていただこう。
その方が優臥が苦労しそうだしな。
あと、俺も野晒しは嫌だから。
「悪いけど頼めるか?」
「うん。
全然いいよ」
明るく笑うサリア。
大して知り合いとも言えない俺を助けてくれて、良い奴だ。
後で恩返ししなきゃな。
「そうと決まれば今すぐ行くわよユウガ」
「あ、ちょっとラメラあんまり引っ張らないでよ。
霧、また後でね」
「ああ、二度と会わない事を祈ってる」
優臥はラメラに腕を組まれ、引きずられるように去って行った。
相変わらず良くモテる男だな。
美少女に腕を組まれるなんて...羨ましな、おい。
俺も腕を組たいもんだ。
そして感触を確かめてウハウハしたいもんだ。
「それじゃあ、案内よろしく」
「うん。
じゃあ着いて来てね」
サリアは腕を組んでくれなかった。
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