猫が一匹居りまして

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ピピピピピと、電子アラームが鳴り響き、俺の鼓膜を刺激する。 目覚まし時計は自分の責務を果たしているだけなのだが、なんとなくイラッとしてしまう。 いつものように若干イライラしながら、俺こと八神霧(やがみきり)は起き上がる。 目を覚ました直後でおかしなことだが、俺はふと違和感を感じたため、辺りを見渡す。 ......見渡すまでもなかった。 視線を右に移すと、一人の男が俺と同じベットで寝ている。 おかしい......この部屋には俺一人しか入れないはずなんだが。  備え付けの錠に、南京錠、ダイアル錠、カードキー錠、電子錠、ピンタンブラー錠、シリンダー錠、面付け錠、ウォード錠、レバータンブラー錠。 これら全てを突破してきやがったのか? 相変わらず恐ろしい男だ。 こいつに不可能はないんじゃないかと思う。 右にいる男は、「ふへへへ、霧兄~、グヘヘヘ」、などと背筋が凍るような寝言を言いながら、だらしない顔で寝ている。 ヨダレまで垂らしている。 おい、これ俺のベットだぞ。 汚ねーからヨダレ垂らすな。 暫く男の顔を見ていたら、眠気が完全にすっ飛び、意識が覚醒する。 早いとここの部屋から出て顔を洗わないとな。 そう思い体を起こす。 何故急ぐのかって? 隣の男の手が俺の大事な所に伸びてきているからさ。 払い除けたにも関わらず、しつこくズボンを掴んでくる手を殴り飛ばし部屋から出る。 洗面所へ行き、顔を洗う。 冷たい水が心地よい。 顔を洗い終え、洗面所を後にしてリビングへと行く。 リビングは狭くも広くもない何とも言えない広さだ。
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