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「……えー、今日で1年生の授業が全て終了した。春休み中に掃除をするので、教室に置いてあるものは全て持ち帰るように」
今日は終業式だった。校歌斉唱の時にまだうろ覚えの校歌を口ずさむフリをしながら過ごしてる内に、時間は割とすぐに過ぎて行った。
「…うげ、靴入れる袋忘れた。おーい山本、レジ袋持ってないか?」
「自分の分しかねーよ。そのまま鞄に入れて持って帰れ」
「やだ、山本くんったら冷たい…およよよ…」
「やめろ気色悪いぞ篠原」
山本とは俺の名字である。ごくごく平凡な名字だが、珍しい名字よりかは目立たないので有り難い。出席番号順でも後ろの方だからあまり当てられないし。
「そうだ篠原、俺さっき他の奴らにカラオケ誘われたんだけどお前も来るか?」
「あー…やめとくわ。両手に上靴持ってカラオケなんて恥ずかしすぎるからな」
「だから鞄に入れれば良いじゃん」
「バッカ、鞄の中身が汚れんだろ。そういうことで、春休み中にでも誘ってくれよな。じゃ」
篠原は颯爽と教室を出ていってしまった。俺は鞄の中身を再確認し、カラオケ行きメンバーが集まっている人だかりに歩み寄った。
「お、来たな山本。早速行くとするか」
「はいよ。飯は頼んで良いのか?」
「集計の時めんどくさいから別に済ましてくれ。…じゃ、行くぞー」
自分が歌えるレパートリーを頭の中で展開しながら、俺は教室を後にした。
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