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車内の中でも目についたが、女モノの荷物はそこかしこにあった。
「あいつのものだ」とはすぐに気がついた。
「入って」
前に、あいつが言っていたマンションの一室。
通された部屋には、あいつが着ていた服やマンガ、雑誌、あとは丁寧に整頓されている。
部屋の中も、あいつとこの男、阿部ひとしが二人暮らしをしていたのだと言うことは明白であった。
本当のことであったのだ。
何故だろう。
何故この男はあんな女に魅力を感じたんだ。
彼は嫉妬した。あいつを憎んでいるわけではないはずなのに。
自分の世界の常識が覆される不快感。
「ごめんね。無理矢理連れ出したりして。君に………聞きたいことがあってね」
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