Prologue

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兄の留学が「訳あり」なのは一緒に暮らすうちに雫も薄々わかっていた。 留学してるというアジアの国名も、大学の名前も学科も叔母に聞くたび違う。 そのうち質問した時の養母の様子が変なことに気づき、開けてはいけないパンドラの箱、と気づいた。 それ以外は完璧な、愛情の豊かな母だった。 栄養士の仕事と家事をこなし、雫の学校行事を 「若返って、子育てをやり直しているみたい。懐かしいわ」 と喜んでくれた。 自慢の母だった。
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