Prologue

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兄は「戦争後遺症」と診断された。一体任務で何があったのか、詳しいことはそれ以上聞けなかった。 思い出の中の、従兄弟だった頃の兄…文武両道で正義感の強かった…とは全く別人だった。 兄以上に変わっていたのは母だった。 実の息子を失っていたかもしれない、という恐怖からか、母の目にはもう兄しか映ってないようだった。 母は退院した兄を囲い込むようにしてあれこれ世話を焼いた。カウンセリングやグループセラピーを勧められていたはずだが、母は兄を一歩も外に出す気がないように思えた。
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