眠りすぎ姫

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「・・・お客様。お客様」 「う、ううん?」  私は身体を揺すられて目を覚ました。気が付けば、私は見知らぬ場所にいた。半透明の蚕の繭のようなカプセルに寝かされていた。辺りを見渡すと、私が寝ていたカプセル以外にもカプセルがいくつもあって、その中で他の人が眠っていた。 「こ、ここは?」 「お忘れですか?ここは、安眠サービスセンターです。お客様は、お医者様から不眠症の症状があると言われ、弊社のサービスを利用したのではありませんか?」  安眠サービスセンターの白衣を着た職員は私に教えてくれた。  私は思い出した。確かに、日々の仕事の疲れですっかり、不眠症になっていた。ここは、人々が忙しく働く世の中から隔離された安眠ができる施設。私は、医者の紹介で、ここにやってきたのだった。 「弊社のサービスで、ご希望でした某国の姫様を夢としてご覧いただきましたが、ご満足いただけたでしょうか」 「え、ええ・・・。とっても、満足したわ」  確かに、私はお姫様になった夢を見られた。王子様が出てきて、キスをされそうにもなった。  しかし、私はその夢の中でも寝ている方を選んでしまった。お姫様になれたなら、自由に何でも出来たというのに。せっかくの優雅な時間を無駄に過ごしてしまったようだ。
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