1 いち 一

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彼女には記憶がありません ある日 このセカイにいることに気付きました 己の名前も白猫との関係も ここが何処で何なのかも かけらも覚えていませんでした しかし彼女の持つ傘に 書かれていたものがありました 『此処はお前が選んだセカイ  記憶は選んだその代価  猫は道連れ 傘は地図  私に会えるその日まで  歩いて進め 少女のままに』 もうどれだけ時間が過ぎたのかは分かりません 何時間か何日か はたまた何十年なのか 彼女は彼女のまま 初めて気付いた少女の姿のまま 歩き続けているのです
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