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彼女には記憶がありません
ある日 このセカイにいることに気付きました
己の名前も白猫との関係も
ここが何処で何なのかも
かけらも覚えていませんでした
しかし彼女の持つ傘に
書かれていたものがありました
『此処はお前が選んだセカイ
記憶は選んだその代価
猫は道連れ 傘は地図
私に会えるその日まで
歩いて進め 少女のままに』
もうどれだけ時間が過ぎたのかは分かりません
何時間か何日か はたまた何十年なのか
彼女は彼女のまま
初めて気付いた少女の姿のまま
歩き続けているのです
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