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白猫はびっくりして
「おまえの傘はどうしたんだい?」
と少女に向かって問います
すると少女は
「いい傘でしょう
この赤が大好きなの
前からずっとこの傘が好き」
自慢気に傘を回してみせ
うっとりと傘を見つめても
紅に変わったことは気付きません
しかしてその目には
蒼い涙が光るのです
泣き出す少女は笑っています
「けれどこの傘は私のであって
私のではないものなの
早く返さなければならないの
けれど………」
誰に返すのかしら?
私は誰に逢いたいのかしら?
私は誰に逢ってもいいのかしら?
そもそも私は
─────生きているのかしら?
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