1 いち 一

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白猫はびっくりして 「おまえの傘はどうしたんだい?」 と少女に向かって問います すると少女は 「いい傘でしょう  この赤が大好きなの  前からずっとこの傘が好き」 自慢気に傘を回してみせ うっとりと傘を見つめても 紅に変わったことは気付きません しかしてその目には 蒼い涙が光るのです 泣き出す少女は笑っています 「けれどこの傘は私のであって  私のではないものなの  早く返さなければならないの  けれど………」 誰に返すのかしら? 私は誰に逢いたいのかしら? 私は誰に逢ってもいいのかしら? そもそも私は ─────生きているのかしら?
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