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「う・・・・ん・・・」
朝、一人の少女が目を覚ました。少女は起き上がるとしばらくボ――、としていたが、ふいに何かを思いついたらしく勢いよくベッドから抜け出して机へと向かった。
彼女の名前はリリー・ヴァイオレット。17歳という若さにして、作家である。
まだ眠たそうにとろんとした深緑色の瞳に眼鏡をかけ、肩の辺りでカットされた髪をヘアゴムでとめれば、彼女の――リリーの執筆体勢の完成だ。
「え~と・・・、ここをこうすれば、辻褄が合って・・・」
そう呟きながら、リリーは紙にペンで文字を綴っていく。
「・・・は~、終わった終わった~!締め切り三日前!!」
かけていた眼鏡をはずしてベッドに投げた時、視界の隅に黒い物体を捉えた。
「ん?ああ、黒猫か」
昨夜、部屋の窓を少し開けていたのでおそらくそこから入ってきたのだろう。
リリーが自分の足にすり寄ってきた黒猫を抱き上げたその時。ものすごい轟音と共にナニかが家の天井を突き破ってベッドの上に落ちてきた。
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