5人が本棚に入れています
本棚に追加
出口を出て真っ直ぐ行くと次の部屋はすぐに見つかった。
「こんなにわかりやすくていいのか?」
「『琴牛宮』って書いてありますし、多分ここでしょう」
「本当は『金牛宮』って言うのが正しいんじゃねぇのか?」
「まぁ、とにかく入ってみましょう」
♪テン、テレテレテレテン。テン、テレテレテレテン。ヒュルーン、ヒュールルル…
「明けましておめでとうございます!」
「はい、おめでとうございます」
「って、まだ正月じゃねぇだろ!!」
「これは、お正月によく聞く琴の名曲『春の海』ですね」
「何で、その『春の海』がこんなとこでかかってんだよ!」
「さぁ、なぜでしょう…?」
「然、あそこに誰かいるぞ」
「あの方がこの宮のゾディアックさんでしょうか?」
今まで鳴っていた琴の音が突然止んだ。
「やはり、来たか…。私がこの琴牛宮のゾディアック、 オックスだ!」
「では、私達はあなたと戦えばいいのですね?」
「それはそうと、お前の弾いてる?その楽器らしき物、それは何なんだ?」
唐突に、闘はオックスに尋ねた。
「琴に決まっているだろう」
「どう見ても、俺には木彫りの牛の背中に弦が張ってあるようにしか見えねぇが…それでも琴なのか?」
「牛の形をした琴の置いてある部屋(宮)だから、ここは『琴牛宮』なのだからな」
「何だそりゃ?」
「で、私達は何をすればよろしいのでしょうか?」
「俺と、琴で勝負して勝ってみろ」
「俺、琴なんて弾いた事ないぜ。勝てるわけないだろ!」
「仕方ありません。では、私が…」
「然、お前弾けんのか?」
「一応、基本くらいは…」
「じゃあ何の曲で勝負だ!?『春の海』か?」
闘はオックスに尋ねた。
「『さくら』にしよう」
「そんな曲でいいのか?」
「ハンデです。私の琴の腕に勝てる人などいませんから…フフフ…」
「『フフフ』って、アイツ、俺達を馬鹿にしやがって…。然、バシッと決めてやれ!」
「はいっ!」
二人は普通の琴の前に座った。
然が、突然手を挙げて言った。
「質問です。この勝負の判定をする審判のような方は?」
「アイツだ!」
最初のコメントを投稿しよう!