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前カゴがガタンと揺れた。自転車で上り坂を越え一気に下る。
昇太の前方から一台の警察車両が坂を登る。
そしてすれ違い様、後部座席にすわる女と目が合った。
昇太は思い切りブレーキをかけた。
昇太がブレーキをかけたのと同時に警察車両も止まった。
後部座席から下りた女に昇太は笑顔を浮かべた。
「美愛、久しぶり。」
「昇太……。」どこか浮かない美愛の表情を昇太は察した。
「捕まったのか?」
「違う。家族があの黒い中に。」
美愛は今にも泣きそうな顔をしている。
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