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家に入り、テレビを点ける。
一切黒い物体について報道はされていなかった。それが昇太には不思議に思えた。
ピンポーン。三回間を開けずチャイムが鳴る。昇太はすぐに瀬戸俊であると分かった。
「やべっ!忘れてた。」
紅茶をドリップしていた昇太は慌てて玄関に飛んで行った。
「しょー!来たぞー!中に入るぞー。」
「シュン!ちょちょっと待て。」
家の中に見られたくない物があるような慌て方。俊はそれは見逃さなかった。
昇太は一人っ子。昇太の母親の物ではない女の靴が玄関にあった。
「これは?」
ニヤニヤとする俊。
俊の洞察力に観念した昇太は俊を家に上げた。
俊はリビングに向かう。
そしてドアを開いた瞬間、持っていたデジカメを落とした。
ティーカップに入った紅茶をすする若く綺麗な女性。
俊のタイプだった。
「お、お前……彼女か?」
「違う!高校の同級生で、まぁ仲は良かったけど。」
「やっぱり彼女だ。」
「違います。」
美愛が即答した。
安心した俊は昇太の方に向き直った。
「じぁあ、なんで昇太の家に彼女が?」
昇太は美愛の置かれた状況を説明するとダイニングテーブルの椅子に座った。
「かわいそうだ……。そうだ。はじめまして、瀬戸俊二十歳です。昇太とは大学が同じで、昇太の家の左斜め前の緑の屋根の家に住んでます。」
いきなりの自己紹介に戸惑いつつ「宮崎美愛です。19才です。」と軽く述べた。
「はじめまして、山本昇……。」
「お前の事は知ってるよ!俺は美愛さんの事が知りたいんだ。」
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