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天気は快晴そのもので、暑さが容赦なく降り注いだ。
空にある青一色に一点の異色が見えた。
黒いそれは物体の重さと重力と無視した、ゆっくりとした速度で落下していた。
「きっと気球よ」と、若い女性の声が後ろから聞こえてきた。
気球、それがすぐに覆され気球とはいい難い大きさで、電車が南明日駅に停車した頃には五階建てビルに相当する大きさになっていた。
彼女は駅で下りた。一日平均10人前後の下車数の南明日駅で20人以上が一斉に下りたのは異例と言えよう。
落下してくる黒い物体を駅で見学する為に下りた人々は携帯電話やスマートフォンで最新のニュースをチェックするも、町の上空にある黒い落下物に関連する情報は一切なかった。
彼らを置いて、電車は通常通り運行し次の駅に向かって行った。
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