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会議室を出て冊子に書かれた宿舎の部屋を探す。
Bー307 昇太は宿舎B棟三階に上がる。
Aー306 美愛は女子の宿舎A棟内を探す。
Bー306 俊の部屋。
部屋は宿舎というホテル。昇太はベッドの上で考えると分からない事だらけで、ぐるぐる頭が回りそうになった。
寝付けない。昇太は部屋を出てA棟とB棟の間にある自販機の前でドカビタDのボタンを押す。
ガチャンと自販機の下から缶が落ちる音がした。
「昇太…。」美愛の声だ。
昇太が振り向くと寝間着姿の美愛が非常口のライトに照らされて立っていた。
「どうした?寝れないのか?」
「うん……。家族の事が心配で。」
「大丈夫。ブラックインベーダーと戦って美愛の家族を取り戻す。」
「ありがとう。そういえば昇太、家族に連絡したの?」
「飯食った後に部屋で電話したら全部知ってた。俺がこの作戦に参加して長い事、家に帰れないのも全部。」
「ご両親は何て?」
「がんばれだって。」
「反対されなかったの?」
「特に何もなかったけど、それだけで伝わったよ。」
「そっか……。」
美愛は家族の事を想うと立ち上がって「部屋に帰るね。」と言い残し背を向けた。
美愛のさみし気な背中を見て昇太はジュースを一気に飲み干した。
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