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南明日の隣町。山本昇太のスマートフォンが振動していた。
ーー時刻は十時十二分。
友達の瀬戸俊が昇太の家に来るには約束した時間より三時間も早い。
通話マークをプッシュすると俊の慌てふためいた声が聞こえてきた。
「外見たか!?」
「いや。」
「外見てみろよ!」
ベッドで寝転がっていた昇太は腰を上げ窓のカーテンを開いた。
太陽の光が部屋を照らす。
一瞬眩しさから目を瞑り、ゆっくりと目を開いた。
高台に建つ築15年の家から隣町の南明日町の山々がよく見渡せた。
(外を見ろと言われても山が見えるだけで…)
言葉を失う昇太。
カーテンを開けて、なぜ気づかなかったのか不思議なくらいだ。
南明日町の山々が真っ暗な影に覆われていた。
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