四季うつり

6/20
前へ
/20ページ
次へ
村人は、黒沼の森と呼ぶ。 村の名称は、この森からきたのだろう。 懐に深い森だった。村人たちは、木の実や茸など豊かな森の恵みの恩恵にあずかっていた。 どんな大雨が降ろうと、黒沼の森と山々はびくともせず、川の水が濁ることもなかった。 子どもたちの、いい遊び場だった。 しかし、黒沼の森は、その奥に「禁忌の場所」も抱えていた。 かつて、沼があったという場所。 そこには、子どもはもちろん、大人でさえ立ち入らない。 村人たちは、そこには 「森の神様がおわす」と信じていた。 その地を侵すと、神罰が下ると。実際、つい最近にも、そのような事件が起きたばかりだった。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加