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村人は、黒沼の森と呼ぶ。
村の名称は、この森からきたのだろう。
懐に深い森だった。村人たちは、木の実や茸など豊かな森の恵みの恩恵にあずかっていた。
どんな大雨が降ろうと、黒沼の森と山々はびくともせず、川の水が濁ることもなかった。
子どもたちの、いい遊び場だった。
しかし、黒沼の森は、その奥に「禁忌の場所」も抱えていた。
かつて、沼があったという場所。
そこには、子どもはもちろん、大人でさえ立ち入らない。
村人たちは、そこには
「森の神様がおわす」と信じていた。
その地を侵すと、神罰が下ると。実際、つい最近にも、そのような事件が起きたばかりだった。
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