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秋の風から
アスファルトのにおいがした
もうすぐ雨が降り始める
折り畳み傘が
近頃は役に立たないね
骨も皮も散らばりそうな荒れ模様
台風 ど真ん中
つむじから逆立つような風に
上っ面を吹き飛ばされた
野ざらしの私が立っている
濁流 橋の下
うなじを滑り落ちた虚無感
仮面の下には何も無い
私の自己同一性は何処へ行った
17年目の異常気象に
仕舞ってた弱い所が
あらかた暴かれちゃってさ
部屋には雨粒が叩き込まれ
自分の心すら片せない
ひとまず手近なものにしがみつく
台風 一過
虚無僧の笠が散らばっていた
私はただの骨格になって
流された自己同一性を探した
橋の上 雨
アスファルトのにおい
軋む町の音に
野ざらしの両手を伸ばす
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