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――――14年前。
産声があがる。
皆の期待の中、僕らは産まれた。
祝福するように鳴る教会の鐘。
ここは、黄ノ国の城。
だが、この幸せもつかの間。
僕らの未来は、僕らには無縁の、大人たちしか知らない都合で2つに裂けられた。
いや、この頃からもう。
この国の未来は2つに裂けられたのかもしれない。
そして、――――今。
君はもう14歳になり母の後を継ぎ、この国に君臨していた。
王女として。
そして僕は召使として王女の君に使えていた。
でも、どういうことなのか。
彼女は、幼い頃の僕との記憶を全て忘れていた。僕らが双子だということも。
僕は覚えている。だが、君は忘れている。
きっと、これも大人たちのせいなのだろう。
だけど、僕が召使で君は王女で。
僕は双子の弟で、君は双子の姉だということに変わりはないのだから。だから。
たとえ、世界の全てが君の敵になったとしても、僕が君を守るから。約束する。必ず守るって。
だって僕らは双子だろう?
君が覚えていなくても僕が覚えているから。
だから、君はなにも知らずにそこで無邪気に笑っていてくれればそれでいいんだ。
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