冷笑

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 公園にはホームレスがわんさかいた。いつもの事だ。  春になるとホームレスでいっぱいになるらしい。就職難であるこの時代は常に戦争状態だった。  欅の木を見つめていると、一人のおじさんに話しかけられた。 「君、岩佐幸雄君だよね」 「はい、そうですが……」 「私ね、あんたのお父さんにお世話になった者なんだ。この前の事件は酷だったね」  おじさんは父さんに敬意を表しているようだが僕には不愉快の響きに聞こえてたまらなかった。  言い返す言葉が見つからず、僕は黙々と去ろうとした。 「君のお父さんね、偉大だったよ」真剣な口調で述べた。 「もし行く所がないなら来ないかい」  背を向けていた僕は、おじさんの方に振り向いた。おじさんは満面の笑顔で立ち尽くしていた。 「いや、迷惑かかりますし……」小さく囁いた。 「子供の癖に遠慮するなって」おじさんは僕の肩に手を置いた。  でも、と言ったがおじさんのペースに押されて行くことにした。  これは人生の大きな分岐点になった。
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