冷笑

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「痛いよ。突然殴られた。助けてくれ」  少年は周りに救助を求め始めた。  事態が大きくなっていき、警察官が近寄ってきた。  先程一緒に話していた警察官もいた。 「何をしたの」 「僕はただ、こいつが僕の家族を侮辱したり、ゲーム感覚で殺ったとか言ってきたんで、殴りました」  警察官は私の言葉を強く受け止めてくれた。 「君は反省してないのか」と警察官に言われると、縮こまるようにして、「反省しています」と告げた。  私はすかさず、警察官の男の人に言った。 「この人、全く反省してません」  私は強く主張した。 「今回は君が殴ったんだから、ダメなんだよ」  思いもよらない発言を返された。  私はきょとんとして、立ち止まった。 「どういう事ですか」  私は涙を眼孔に浮かべながら言った。 「どんなに言われても、この社会で生きている限り、先に手を出したら負けなんだ」  彼の言葉には先程の愛情を全く感じなかった。
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