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私はただ、泣く事しか出来なかった。なにも出来ない自分に苛々して堪らなかった。
私は勢いの余り、アスファルトを拳で思いっきり殴った。
何発も何発も血を流しながら殴った。
この時、痛みは憎しみによって消え失せていた。
私は、駆けつけた警察官に取り押さえられた。
私はこの時を境に表情を失い、笑う事が出来なくなってしまった。
やってきた事、それら全てに悔いは無いが、家族の死が、何故こんなにも簡易に済まされてしまうのか。そこら辺の一つや二つの命は関係無いって事なのか。
私は獄中にいるとき、それしか頭になかった。
――一年経って、私は解放された。
暴行にも動機があったが為に、刑は軽く済んだ。
私は門を出ると、すぐ目の前に少年がいた。
私は、思わず声を漏らした。
「見るな。汚れが移る」
少年に先制攻撃を与えると私はその場を去った。
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