草津入り

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2日後、予定通り先遣隊が草津へ到着し、忙しさの中にも 穏やかだった宿場町の空気が一変 宿割りの確認から、家茂候が宿泊する本陣の座敷、厠や 風呂場に至るまで、厳重にチェックを行われている 先遣隊含め、行列は当然ながら直参、所謂旗本の人たちが 務めているのだが、参勤交代がある譜代や外様の家臣とは違い、 3代将軍家光候の入洛以来なので、こういった営みはすべて の人が未経験 ましてや不穏な空気渦巻く中での上洛という事を考えると、 先遣隊の人たちがどれだけチェックをしたとしても、 これでOK!なんて状態になるはずもなく、 やっている人たちには悲壮感さえ漂っていて・・・ 自然と声は大きくなり、横柄な罵詈雑言が飛び交っているが、 その割には抜けているところも多く、傍から見ていると穴だらけ・・・ 慌てぶりは拍車をかけ、滑稽さはコントなのか?と感じるほど 「徳川の威信など、もはや存在しませんな・・・」 「そうですねぇ・・・」 時代なのかと、目を伏せ首を振る松陰先生と佐内くん 昨日のイケメンくんが、本気で【将軍家茂を斬る!】ことを画策 しているのであれば、この状況を見ていくつもの作戦を練るだろう やばいなぁ・・・ とりあえず、早急に家茂候を護る方法を考えないと・・・ 「はっ、箱崎さまぁ!!! たたっ、大変ですぅ!!!!」 へっ?はいっ? オレ?? 転がるように框へへたり込んだ仲居のおきっちゃん 聞くと、宿場町の入り口に本行列が来る様子を見ていたのだが、 見えるところに差し掛かったところで賊に襲撃されているのだとか しかも、おきっちゃんと一緒にいた澪が、藤兵衛を引き連れて 襲撃現場へ突っ込んでいったらしい 「ええっ!?」 状況を聞くのもそこそこに、駆け出して現場へ向かう ツッカけた草履の大きさが合わず、途中脱いでしまったが、 痛いという感覚すらないほど慌ててしまっていた
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