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「おい、澪!起きろ!」
ゆっくりと目を覚ますと、気怠そうに応える
「あかん、ウチ吐く…」
慌てて荷台から引っ張り出し、草むらで嘔吐する彼女の背中をさすってやると落ち着いたのか
「お兄ぃ!やっと逢えたぁ(^^)/」
と、抱きついてきた彼女…妹に戸惑いを隠せない
『そのものは誰じゃ?』
おぉ、狼狽えすぎて幾島さんの存在さえ忘れていた!
「初めましてぇ!私はミオ、17歳で~す(^_^」
言葉を文字にするとこうなるのだが、気分が悪く吐いた後なので青白い顔、勢いもなく応えている
「澪!お前なんでこんな危ないことすんねん! 親父は知ってんのか?いや、絶対知らんよな!」
「だってお兄ぃ…」
「だってやない!帰られへんねんぞ!」
『何がどうなっておるのじゃ、薫どの…ちゃんと説明なされよ!』
あ…
幾島さんの一喝に、2人の言い争いは収まり、近所迷惑だったであろう声がなくなってシーンと静まり返る
しばらくして鈴虫やコオロギの声が聞こえてきた
「彼女は澪、俺の妹です…」
澪が云うには、これに乗っていれば俺に逢えると思って、親父に隠れて乗り込んだらしい
ただ、これがタイムマシンであることは全く知らなかったらしく、変な揺れ方で気分が悪かったと大ボヤキだ…
『…とにかく今宵はもう遅いし、そなたも弱っておろう、明日、また詳しい詮議をいたす故、兄上と来られるがよい』
「はぁーい! アリガトおばさん(^o^」
『お、おばさ…』
幾島さんのコメカミの青筋に焦りながら
「すっ、すいません、躾がなってないもんで申し訳ありません、よろしくお願いいたします!」
『…では参ろう』
多少顔を引き攣らせながらも、先導してくれる幾島さん
足元が暗いので、ライトで足元を照らしてあげると、明るさに驚きながらもニコりと微笑んでくれた
このくらいで機嫌を直して貰えるなら、文明の利器は惜しげもなく使わせてもらおう
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