転地

15/22
167人が本棚に入れています
本棚に追加
/329ページ
「おい、澪!起きろ!」 ゆっくりと目を覚ますと、気怠そうに応える 「あかん、ウチ吐く…」 慌てて荷台から引っ張り出し、草むらで嘔吐する彼女の背中をさすってやると落ち着いたのか 「お兄ぃ!やっと逢えたぁ(^^)/」 と、抱きついてきた彼女…妹に戸惑いを隠せない 『そのものは誰じゃ?』 おぉ、狼狽えすぎて幾島さんの存在さえ忘れていた! 「初めましてぇ!私はミオ、17歳で~す(^_^」 言葉を文字にするとこうなるのだが、気分が悪く吐いた後なので青白い顔、勢いもなく応えている 「澪!お前なんでこんな危ないことすんねん! 親父は知ってんのか?いや、絶対知らんよな!」 「だってお兄ぃ…」 「だってやない!帰られへんねんぞ!」 『何がどうなっておるのじゃ、薫どの…ちゃんと説明なされよ!』 あ… 幾島さんの一喝に、2人の言い争いは収まり、近所迷惑だったであろう声がなくなってシーンと静まり返る しばらくして鈴虫やコオロギの声が聞こえてきた 「彼女は澪、俺の妹です…」 澪が云うには、これに乗っていれば俺に逢えると思って、親父に隠れて乗り込んだらしい ただ、これがタイムマシンであることは全く知らなかったらしく、変な揺れ方で気分が悪かったと大ボヤキだ… 『…とにかく今宵はもう遅いし、そなたも弱っておろう、明日、また詳しい詮議をいたす故、兄上と来られるがよい』 「はぁーい! アリガトおばさん(^o^」 『お、おばさ…』 幾島さんのコメカミの青筋に焦りながら 「すっ、すいません、躾がなってないもんで申し訳ありません、よろしくお願いいたします!」 『…では参ろう』 多少顔を引き攣らせながらも、先導してくれる幾島さん 足元が暗いので、ライトで足元を照らしてあげると、明るさに驚きながらもニコりと微笑んでくれた このくらいで機嫌を直して貰えるなら、文明の利器は惜しげもなく使わせてもらおう
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!