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強気に言い放つ入藤は、親指をぐっと立てて、歯を見せて笑いかけた。
「不可能を可能にするのが、パソコン部なんだよ」
この一言に心を奪われ感動した名城と深川が、涙を流しながら入藤の名を呼び、彼女に抱きついていった。
その輪から少し外れて、
「泣いてなんか……ないんだからね!」
と言い、こっそり目じりを拭う遠本。
「えー……。この場で何一つ感動できないんだけど、ボク」
キラキラ輝く少女たちを白い目で見つめつつ、篠水はぼんやりと呟いた。
「まあ、とりあえず空気読んでおこうぜ。おまえ図書室から、あれらの魔法を実現できそうな本持って来い」
「……はーい」
美須賀の命令に気のない返事を返しながら、篠水は部室を出て行った。
夕焼けに染まる廊下は、なんだか暖かそうに見えた。
【1】一月十六日の出来事<終わり>
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