【2】四月十日の出来事

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「はあ……はあ……」 息が荒くなってきたようだ。そろそろ勝負を決めなくては……。 遠本はすばやく全身を前のめりに倒した。そうして力強く左足を床につく。 「はああッ!」 左足に力を込め、バネのような弾力で蹴った。 小柄な遠本の体は加速し、ほとんど床と平行になって空を切った。 握る二本の箒を交差して構える。 狙うは宿敵・美須賀の腹部! 「いっけえええええええッ!」 「ふん、甘いな」 美須賀の動きは獣のように俊敏だった。 咄嗟の跳躍で遠本の剣撃をかわす。 「チッ」 狙いを失った遠本は、再び足をつき、体勢をたてなおした。 両者の睨み合いが続く。互いに隙はなかった。
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