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「うるせー!お前は黙ってろ!」
朝っぱらから二つ下の妹にマジ切れする兄。
「え、何なの?私が黙らないといけない法律でもあるの?だとしたら何罪になるの?どこの裁判所に行かなくちゃならないの?ねぇ?」
「くっ…!」
二つも上なのに妹に口喧嘩でも勝てない、望人はそんな兄だった。
「さすが縷々(るる)ちゃんやわ。もっと言ったって!」
母が煽る。
「もしそんな法律があったらぜひ見てみたいわ。ま、そんなこと言うのはお兄ちゃんぐらいだろうけどね。六法でも持っておとといきやがれバーカ」
完全に完封に完敗だった。
「あーもーうっせーうっせーうっせー!
もういいよ!もー学校行くよ!」
俺は真面目で、そして卑屈だった。
猛スピードで朝食を食べ、猛ダッシュで着替え、猛暑の中へと、半ば逃げ出すように、鞄を引ったくり駆けて行く。
「あーあ、行っちゃった。あっ!もうこんな時間。」
望人と口喧嘩をしている間、時計は既に学校へと行くべき時間を差していた。
「私もそろそろ学校に行くね」
母へそう告げる。
「縷々ちゃんなに言ってんの、そんな冗談もう聞き飽きたわよ」
母親はそう答えた。
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