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“悪魔”の手が妹を襲おうとしている。 凛だけはボクが護らないと! 「うわあぁぁあっ!」 その腕を止めようとするが、大人と子どもでは力の差は歴然としている。 間に入った柊は軽々と飛ばされ、顔から窓ガラスに突っ込んだ。 「ああぁぁぁあぁああっ!」 割れたガラスが柊の右目を襲った。 「お兄ちゃん!」 凛の声が耳にとどく。 さっきのでわかった。ボクには護ることはできない。 それなら…… “逃げなきゃ” 柊は痛みを堪えて立ち上がると、凛の手を引いて走り出した。 いく宛もなく、ただ、あの場所から逃げるために。 それは、柊が9歳、凛が7歳のときのことだった。
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