12人が本棚に入れています
本棚に追加
/264ページ
“悪魔”の手が妹を襲おうとしている。
凛だけはボクが護らないと!
「うわあぁぁあっ!」
その腕を止めようとするが、大人と子どもでは力の差は歴然としている。
間に入った柊は軽々と飛ばされ、顔から窓ガラスに突っ込んだ。
「ああぁぁぁあぁああっ!」
割れたガラスが柊の右目を襲った。
「お兄ちゃん!」
凛の声が耳にとどく。
さっきのでわかった。ボクには護ることはできない。
それなら……
“逃げなきゃ”
柊は痛みを堪えて立ち上がると、凛の手を引いて走り出した。
いく宛もなく、ただ、あの場所から逃げるために。
それは、柊が9歳、凛が7歳のときのことだった。
最初のコメントを投稿しよう!