序章 始まりは歴史から紡がれる

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  「おーいそこの生徒ー。何窓の外見て黄昏てんだー」 恐らくは自分を指したものだろう、と解釈した少年は、 「そんなやる気ない声で言われたら、こっちもやる気なくなりますよ」 「だって、やる気ねーんだもん」 「認めちゃ駄目だろ」 はぁ、と呆れから来るため息を吐く。 もうこのクラスになって半年になるが、未だにどうかと烏丸は思う。 1年B組の担任、四阿哲哉(あずまやてつや)は教壇の上で欠伸(あくび)を漏らした。 自他共に認める怠慢教師で、教育委員会に呼び出された回数が最多という記録を持つ、ある意味スゴイ教師である。 「オレもよー、今日は仕事を早々に切り上げて、予約済みの新作ゲームを買いに行きたいのよ。だからソワソワしちまって」 「知らねっスけど」 「はっ。まさかお前もそれで!?」 「いや、ちが……って同士みたいに握手しないでください! 手が痛い手が痛いッ!」 強引に手を振りほどき、痛点を刺激された手に息を吹きかける。  
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