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「誰のせいで、こんな風になってると思ってるのよ!」
「誰のせいって、お前のせいだろ!?俺はやめてもいいんだぜっ!」
「なっ!!」
強い口調で言い返すも、あっけなく桜井に撃沈され、彼女は口をつぐむ。
とにかく、今は我慢だ。
お金さえ返ってくれば、二度とこの男と話すことは無いのだから……。
理香子は唇を固く結ぶと歩き出す。
道中、桜井はなぜか通話を切ろうとしなかった。
お互い無言だったが、通話状態のままが続く。
携帯を耳にあて、ひたすら歌舞伎町に向かって歩く理香子。
暫く歩くと、前方にパンダが見えた。
いや、正確にはパンダの着ぐるみを着た人が通行人にポケットティッシュを配っている。
パンダは彼女に気付くと歩み寄り、可愛い仕草でティッシュを差し出す。
理香子は、それを無言で受け取った。
━━こんな暑いのに大変だな。
彼女は、そんなことを思いながら通り過ぎる。
と、その時
「きゃあーーッ」
後方から、耳にキーンと響く甲高い悲鳴がした。
「なに!?」
慌てて振り返る理香子!
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