接点━2

6/34
前へ
/2447ページ
次へ
━━新宿駅、東口改札前。 東口と言われただけだが、ここでいいのだろうか? 理香子は周囲に必要以上に目を配りながら、そんなことを考える。 この東口改札は、彼女自身かつて何回も通り抜けた場所だった。 次々と目まぐるしく行き交う人々。 「相変わらずだな……」 理香子は、ハンカチで額の汗を拭いながら呟く。 その時、手の中の携帯が振動した。 非通知。桜井だ。 「今、奥さんを確認した。 今日の服装は、淡いブルーのキャミに白いシルクのショール。膝丈のタイトスカートは、ん? クリーム色か?相変わらずスタイルがいいな、それに中々の美人だ」 桜井の言葉に思わず頬を赤らめた理香子は、俯き加減で尋ねた。 「で、私はどうすればいいの?」 「まず、地上に出ろ。 そしてアルタ前の交差点を渡って歌舞伎町方面に歩け。すれ違う1分ほど前になったら電話する」 桜井はそう言い残すと、通話を切った。 ━━歌舞伎町。 昔働いていたキャバクラがある場所だ。
/2447ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加