接点━2

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「すいません、通して下さい!!」 人と人との隙間をくぐり抜け、輪の中心に入ってゆく。 やがて、パンダの頭部分が見えてくると、その横には白いTシャツ姿の青年が横たわっていた。 意識は無いようで、目は閉じられている。 ハンカチなどで青年を扇ぐ数人の女性。 その向こう側に群がる野次馬達。 彼女は、その野次馬達を端から舐めるように見回す。 その時 一度は通り過ぎた理香子の視点が、泣いている子供を視野の隅に捕獲したまま素早く戻された。 子供の横には母親らしい女性がいる。 彼女は、なだめるように子供を抱き締めていた。 ━━その左横 瞬間、理香子は両目を大きく見開く。 黒いスラックスに白いワイシャツ姿。 眼鏡をかけた、一見サラリーマン風の男が携帯を耳にあてている。 「……桜井」 理香子は呟くと同時に人混みを掻き分けて、男の背後へと回り込む。 そして男の真後ろに立つと、バックからそっと携帯電話を引き抜いた。
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