接点━2

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電話の向こうからは、かなりの人数の話し声がざわめきとなって聞こえていた。 もう、子供の泣き声は聞こえない。 それもそのはず、子供は今、母親に抱き上げられて落ち着いたのか、目をこすりながら笑顔さえ見せている。 子供は幼女。 長い髪に大きめの赤いリボンをつけてた。 母親の肩越しに、時折目線が合ってしまうほど近くにいる。 理香子は深く深呼吸をし、男の大きな背中を見上げる。 男は以外と背が高い。 自分より20cm以上は高いだろうか? 見上げないと黒い短髪のうなじが見えない。 桜井、とうとう私は貴方を見付けた。 ゆっくりと指先を伸ばし、男の肩に手を置いた理香子は、同時に言葉を発した。 目の前の桜井。 電話の向こうの桜井。 両者にはっきりと聞こえるように……。 「チェックメイト」 それは、屈辱と共に桜井から二回ほど言い渡された終了の合図だった。 男が振り返る。 理香子は勝ち誇ったように口角を上げた。 だが、心音は真逆。 得体の知れない恐怖に怯え、やたらと鼓動を高鳴らせている。
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