接点━2

14/34
前へ
/2447ページ
次へ
違う! この人は桜井じゃない!! そう悟った瞬間、彼女の顔は直射日光を真正面から当てたように真っ赤になった。 「人違いしました。すっ、すいませんっ!!』 慌てて男に頭を下げ、逃げるようにその場を立ち去る理香子。 携帯からなのか、反対側なのか、どちら側か判断はつかないが、彼女の耳に聞こえるサイレンの音。 誰かが救急車を呼んだのだろう。 後、何分後かに、倒れた青年はタンカーに乗せられて病院に搬送される……。 今になって、初めて青年の安否を気にしている自分がいて そのことが……今更ながら、酷く薄情に思えた。 ……情けない。 おまけに恥までかかされて!! 理香子の胸に飛来するのは、人違いをした落胆では無く、桜井に対する沸々とした怒りだった。 「チェックメイトじゃなくて残念だったなあ~」 からかうような桜井の声。 彼女は悔しさのあまり唇を噛み締めた。 「貴方、人が恥をかいたことがそんなに可笑しい!?」 「その質問には前にも答えただろう?ああ……最高に面白い!」 最低!! 「貴方、性格が最悪だわっ!」 「そうでもないぜ!あんたにちゃんと情けをかけて、チャンスを与えただろう?」
/2447ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加