接点━2

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「…………」 「…………」 音が止まり、理香子と桜井の間に流れる静寂の数秒間。 やがて人は、また前方を見て歩き出す。 耳に街の音が戻ると同時に、桜井はこう言った。 「前にも言ったが、あんたは金持ちだろ? 三百万ぽっちに、なぜそんなにこだわる? 『詐欺に騙されました』と旦那に全て話して謝罪すれば、笑って許して貰える問題じゃないのか?」 「……そんなに甘い問題じゃない!何も知らないくせに、知ったようなこと言わないでよっ!!」 「知ったようなことか……。だけど、これだけは言える。詐欺ってのは騙す方も悪いが、騙される方のがもっと悪いんだぜ! 要は、あんたがバカだったってだけの話だ」 「まあ、ずいぶんと自分を正当化するのが上手ね。 そうやって貴方に騙されて泣いてる人が何人もいるって言うのに!貴方なんか人間のクズだわ! 警察に捕まってしまえばいいっ!!」 「ふん!それもいいかもな、だけど俺が捕まったら金はあんたの元には戻らないぜ。 なんせ奥さんは、被害届も出せないほど旦那に怯えてるセレブだもんな?」 怯えてる? ――そう、確かに私は怯えている。 だって当然でしょ? 主人は、俊介は……。
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