499人が本棚に入れています
本棚に追加
――だが、この結婚には大きな障害があった。
彼の家は、代々続く由緒正しい京都の呉服屋で、俊介の兄の代になってからも飛躍的に事業を拡大する財産家。
俊介自身も、東京地検特捜部に配属される将来有望なエリート検事である。
一方理香子は、まだ幼い頃に親に捨てられ、施設で育だった孤児であった。
しかも高卒で、キャバクラはやめたものの、小さな花屋で働いている。
この格差の違いは絶大だ。
俊介の両親は、勿論この結婚に肩を奮わせて猛反対した。
だが、彼はガンとして意思を曲げる事なく、彼女を妻にしたのだった。
未だ反対する義両親の影に怯えながらも、理香子は愛する俊介との幸せを掴んだ。
━━━━━━━━━
彼女は瞳を閉じる。
――そう、私は幸せ者。
主人には感謝している。
その時
「理香子!!」
突然、大きな声を張り上げて俊介がベッドから立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!