攻略法

2/15
前へ
/2447ページ
次へ
翌日、何事も無かったかのように俊介を送り出した理香子は、大きな袋を抱えてゴミステーションへと向かった。 可燃指定袋を降ろすと同時に、ポンポンと肩を叩かれ振り返る。 背後には近所の主婦、横溝昌枝(ヨコミゾマサエ)(三十六歳)の姿があった。 似合うか似合わないかは別として、ファッション雑誌のモデルに憧れたベリーショート。 奥二重の瞳と低い鼻が彼女のチャームポイントだ。 小花模様のエプロンが良く似合う昌枝は、理香子が唯一気さくに話せる主婦仲間。 彼女は、理香子の顔を見て目を見張った。 「その眼帯どうしたの?口の横も切れて青くなってるじゃない!!」 「ええ、ちょっと階段で足を滑らせたの」 「また?この前も同じ事言ってたでしょ?」 「おっちょこちょいだから私……」 力なく微笑する理香子。 昌枝は肩で息をついた。 「まあ……深くは聞かないけど、何かあるなら相談してね。 理香子さんは、あたしと違ってまだ若いし、人生やり直しだってできるのよ」 意味深な彼女の言葉に理香子は眉を潜める。 「何を言ってるの?私なんて今年でもう三十歳よ。 昌枝さんと六歳しか変わらないじゃない」 「うぅーっ」と唸るような声をあげ、昌枝は首を横に振る。 「解ってないわねぇ~、その六歳が大きいのよ。 所でさっき見かけたけど、お宅のご主人って何歳?」 「主人は私より六歳上だけど……」 「まあ、じゃあ私と同じ年って事!?失礼だけど、もっと年上かと思ってたわ」
/2447ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加